痩せた女は美しいか

　
ファッション業界にイモンカケと言う言葉がある。イモンカケのことではない。
　痩せたモデルのことである。モデルが肥っていると洋服の雰囲気をこわすので、モデルは痩せていることが最上とする考え方だ。
　たまに女優を有難がるデザイナーもいるが、女優はいつも女優でありたいという根性が強く、服の個性は殺されてしまう。それでも女優大好きというデザイナーは、マスコミ大好きという根性の持ち主と思ったらいい。
　洗濯やのイモンカケというたとえもある。細いハリガネのようなイモンカケ、すなわち異常に細いモデルのことだ。オートクチュール系で配役されることが多いが、少しばかりエキセントリックなモデルが多い。節食し、ジムに通い、肉を落とす、その多くはカルシウム不足で、骨粗鬆症になったり、鉄分不足の貧血になったりする。生理がとまり、あたし不妊症なのというモデルもまま見受けられる。
　イモンカケのモデルたちは、服のなかで身体が泳いでいるが、それでも服のシルエットを壊す肥満体のモデルよりは良しと考えられてきた。
　この程、フランス国会で「痩せすぎモデル禁止法案」が下院通過した。痩身モデルの影響を受け、少女達が拒食症となり、ほおって置けないというのが、フランスの議員さんの心配だつた。
　違反したモデル・エイジェンシーは、７万５０００ユーロの罰金か、６か月以下の禁固刑に処せられる。
　日本でもこの痩身信仰はかなり広まって、美しいのは痩せているからという困った思い込みが支配している。
　フランス並みの法案が出来れば、明日から北川景子も桐谷美玲も道端アンジェリカも失職する。