理解不能な大学生　お散歩サークル

　部活がサークルになって、胸を時めかした。
　ロマンローラン研究会、サルトル実存主義研究会、マルクス社会主義研究会などに交じって、広告研究会、劇研、落研などの軟派サークルもあった。いずれもが、ある程度の覚悟と学問への興味に支えられていたような気がする。大学生になったのだから、という気負いもあったかもしれない。
　近頃キャンパスでの人気サークルを聞いて驚いた。今一番旬なサークルは、お散歩サークルだというのだ。横丁のご隠居さんでもあるまいに、若者がお散歩サークルとは信じられない。お散歩は危険がなく、街の表情にも触れられ、お金がかからない。いま様に言えばコスト・パフォーマンスに優れているのだそうだ。
　そんなら本でも読んでいた方が、よほど良いかも、と考えるのは、古い考えだという。
　早稲田大学お散歩サークル、慶応大学お散歩サークル、京都大学お散歩サークル、異彩を放っていたのは、東京大学合法深夜徘徊サークル、目的は　①深夜徘徊　②夜のピクニック　③昼のお散歩等々、普通の人からみれば「怪しい人、変な人」なのだが、大学キャンパスに於けるサークル活動として認められているようだ。
　このお散歩サークル女子大にはあまり見かけない。ゆるく孤独な男子に較べ、女子にはアッシーやらメッシーといった召使男子がいるからだろうか。