理系男子がいなければ日本は滅亡する

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 いま理系男子を育てなければ、この国は滅亡する。
 このは毀誉褒貶の多い工学者武田邦彦先生の主張である。
 日本を代表する工学者の一人である武田先生はまま刺激的な発言をされるが、理系男子の緊急必要性にかんする先生の発言には全く同感だ。
 そもそも世界中が認める日本人の仕事の確かさを支えてきたもの、それは日本人の脳の緻密さと油まみれの仕事を辞さない国民性によって維持されてきた。そのため現代の科学的生活の基礎である自動車、電機、工作機械の三大分野における世界的優位性が保たれてきた。
 例えば、優れた自動車を作れるのは、ドイツ、アメリカ、日本しかない。何故か、ひとえに国民の基礎技術力の高さにほかならない。鉄鋼生産の技術力もただちに鉄道開発のレベルに直結してくる。先の世界大戦でアメリカと互角に戦かった航空機ゼロセンの技術は敗戦とともにアメリカに持っていかれ、三菱が試作を10年20年重ねてもアメリカの足元にも及ばなくなっている。
 基礎技術力の低下は何年か前の三菱自動車事件以来、あちこちで言われていたにもかかわらず「ダイハツ事件」で顕在化してしまった。かっての日本では考えられないこと、過去の日本は、仕事への誠実さとモラルが現場を支えてきたにもかかわらず、である。
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 近頃の日本のお母さんは、まとも日本語もしゃべれないうちから英語を習わせようとする。英語ができれば海外旅行はできるし、料理もつくれるようになる。女性にとっては英語をしゃべって、ブランドをきて、パーティが開ければ至高の喜びかもしれないが、油まみれの理系男子がいなければ、たちまち三流国になりさがり、後進国になってしまう。今必要なのは、語学に無関心の理系男子なのだ。
 野球が上手くて、マラソンが早くて、ラグビーが強くても、国家のレベルは上げられない。国力をあげ、基礎技術力をつくるのはひとえに理工系労働者の充実なのだ。
 工業高校、高専進学者に対する育成・助成策こそが、今の日本にとって最重要課題であり、必要施策であることをなぜ政治家は気が付かないのか。私学経営者も目先の介護、情報、サブカルに眼をむけず、国家百年の計に資する学部の充実に努力してほしい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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