「白骨温泉の湯は温泉と認めるわけにいきません」県知事の権威をふりかざして発言されてはかなわない。
すっかり白骨温泉は悪者にされてしまった。
それまで温泉には”循環ろ過”と”かけ流し”のふたつがあるということを知らなかった人々が、一斉にかけ流しこそ正しい温泉だと認識してしまった。
以来観光地の温泉はみなこぞって「かけ流し」とか「源泉かけ流し」をうたい文句にするようになった。つまり「源泉かけ流し教」が日本全国にはびこったのだ。かけ流しにあらずんば温泉に非ず、いかにも日本人らしい単一志向な温泉マニュアの大量発生だ。
都市部にあるスーパー銭湯やスーパー温泉では、4日に一度ほど風呂桶をあらって源泉を入れるという。すると客は「湯がよごれている」と怒る。つまり源泉のすこし麦茶色に濁った湯を知らない。毎日ろ過し循環し続けると、湯の成分がどんどん薄められて、4日目ぐらいにほぼ透明になり、客は「今日はいい湯だ、キレイな湯だな」と喜ぶ。 経営者は馬鹿馬鹿しくてやってらんない、ということらしい。
かけ流し温泉にしても、「かけ流し」「温泉かけ流し」「源泉かけ流し」「源泉100パーセントかけ流し」と4つに分けられているということは、ほとんどのユーザーはしらない。
要は、心地よい温度で、清潔で身体に良く、温まる温泉であればいい。少しばかりの加水や加温は気にしなかった筈だ。身体にいい状態で入浴する知恵の湯より、なんでもかんでも源泉かけ流しがいいというのは、愚者の信心というべきか。
もうそろそろ源泉かけ流し原理主義から覚めてもいいのではなかろうか。
源泉かけ流し教の人々
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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