混浴の文化はいずこに

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 混浴温泉が無くなろうとしている。
 現在、混浴温泉のある宿が470軒、共同湯・野湯も190湯前後で、合計600数十湯、21世紀になってから半減したと伝えられる。
 その大きな原因は、最近の貸切風呂ブームだといわれている。大手の旅行業者のキャンペーンに乗って、貸切風呂ブームが起き、団体客の減少とともに、さらに露天風呂付客室へと変わってきた。
 「たまには夫婦で…」のコピーに隠れて、「恋人と一緒に…」や「不倫旅行」の需要が、離れのある個室露天風呂付の宿へと変身してきた。つまりおおらかな混浴文化は、ラブホと実態に於いて変りのない淫靡な施設へと変ったのだ。
 中世以来この国では、湯に入るときの衣裳として、女性は「湯もじ」男性は「湯ふんどし」という習慣があった。そのうえで和気あいあいと湯治を楽しんだ。いつかテレビのバスタオル入浴に毒され、キリスト教的性悪説により、混浴断絶に追い込まれた。
 今日も田舎の湯治場では、シルバー夫婦支えあって腰やヒザの痛みをカバーしながら入浴している。湯治場では、混浴は絶対必要なものです、と鳴子温泉の主人も云っている。
 女性のハダカだらけの週刊誌より、ずつと健全で必要なのは、混浴温泉ではなかろうか。ドイツの有名温泉地バーデン・バーデンのおおらかさを見よ、と言いたい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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