正月になると、あちこちで紙垂をみる。
普段死んでいるようなお社にも、裏のお稲荷様にも、集落の古老の玄関にも紙垂がつけられる。
この紙飾りもいろいろの流儀があって作り方が違うと、教えられた。吉田流、白川流、伊勢流とそれぞれの所属する講により、異なるのだそうだ。お札を配る御師の所属する神社により、集落の紙垂も変わってくる。
軽井沢辺りの紙垂でいちばんは、浅科村の「鳥追い」に登場する大御幣(おおおんべ)である。
九尺の棒の先につけられた紙垂の重さが20キロは超えるというから、恐らく数千枚の紙垂を束ねて造られた大御幣なのだ。
この大御幣を勢いよく回し、上下にゆすりながら集落を清めていく。お神酒の回った若者達が交代しながら進むのだが、ひとりで進む距離は10メートルが精一杯、この御幣回しで病魔退散、豊作祈願を祈るのが、ここ浅科村上原地区の正月行事なのだ。
後には猿田彦の幟を持った子供たちが囃し唄を歌いながら続く。
都会に出て行った若者たちもこの日ばかりは故郷に戻って大御幣を担ぐ。
無限の神威とも、稲妻の象徴とも伝えられる紙垂の活躍するお正月なのだ。
浅科の大御幣
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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