音がまったくないところで、人々が踊っている。
沈黙ディスコと呼ぶべきか。なかには不気味で怖い、という人もいる。
演出次第では、コンサートなども成立するかもしれない。
なにしろ大容量のスピーカーから音を出す必要がないのだから。
ライブ会場の大音量から人々は解放され、それぞれの世界にこもって好きな音楽と付き合う。
群れて大騒ぎしたい人には向かないが、一人たゆとう音楽に浸かって至福の時間を送りたい人にはむいている。愛する人と暗闇で、麻薬の如くに音楽に酔いたい人にも向いている。
アツデンの MOTO DW=05なるワイアレス・ヘッドフォンがでたことにより、急速にじわじわとひろがっているのが、「沈黙フェス」と呼ばれる新感覚イベントなのだ。
フラッシュ・モブに比べたら、はるかにムリのないデジタル人間向きのイベントだろう。人としゃべりたくない、人と関わりたくない若者が増えている今、出るべき必然性のある沈黙の世界だ。人とのコミュニケーションからスタートした情報社会に、コミュニケーションの断絶をテーマにした、こんなイベントが登場することに、皮肉な喜びを感じる。
沈黙フェスはどこまで広がる?
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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