毎日が駅弁まつり

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 軽井沢・東京を往復しなければならないことが、毎週一、二回ある。
 行くときはほぼ気忙しく約束の時間に間に合うことが最優先、が帰りは少しばかりのゆとりをもって銀座の伊東屋で文具を買ったり、たまにはESTNATIONに立ち寄ってファッションの気配を覗いたりしている。
 がこのところ東京駅が、マイブームになっている。正しくは東京駅改札内一階セントラルストリートと言うらしいが、京浜東北/蒲田関内方面⑥番線と東海道線/横浜平塚熱海方面⑦番線の間の中央地下道にある駅弁屋「祭」がめっぽう楽しい。
 まず入口に「毎日が駅弁祭り・売り切れ御免」とある。そして名物駅弁本日の入荷時間表が表示されている。北海道かきめし5:30 鹿児島極黒豚めし5:30 峠の釜めし10:30 新潟海老千両ちらし14:00兵庫炭焼き風あなご重10:00……入荷時間は弁当の鮮度を保障する。店にあふれる様に積んてある180種以上の駅弁にわくわくする。いままで数限りなく開かれてきた駅弁まつりの欠陥をついて見事なアプローチだ。
 ディスプレイも肉系人気駅弁、海鮮系人気駅弁、イベント人気駅弁、ヘルシー人気駅弁、東京駅の駅弁とグループ化されていて、混雑のなかにも目指す場所がよく解る。人並みをかき分けながら、駅弁とともに日本の旅をする。一隅では日替わりで実演販売もしている。片方の壁面には飲み物があらかた揃えられている。
 銀座でフォークとナイフも幸せだが、この駅弁屋で未知の名物駅弁を手にし、新幹線でゆっくりと全国名産を味わうのも至福の時間だ。
 世界中探してもこんな駅弁屋はない。
 デパチカや駅構内に沢山ある駅弁屋のすべてを撃破するエネルギーがこの祭りに溢れている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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