富士山と茶畑をのぞむ日本の景色のなかを機関車トーマスが走る。
おんな子供は単純にカワイイ、ステキと喜んでいる。僕もきかんしゃトーマスは好きな絵本だ。
がSLのメッカとして人気のある大井川鉄道をトーマスが走るとなると、素直に喜んでばかりはいられない。
テッチャン族にとっては、日本の鉄道史を作ってきたSLは聖なる汽車ともいえる。産業革命のシンボルSLが、外国漫画にとって代られようとしている。
いま日本最大のエンターテイメントといえば、東京ディズニーランドであることは衆知のこと。さきごろ大阪USJにハリーポッター・エリアが登場して人気急上昇となった。
そこに殴り込んできたのが、きかんしゃトーマス。トーマスは事故を起こしたり、遅刻したり、脱線したり、公道を走ったり、問題行動が多く、いわばならずものの機関車だ。
シツケの厳しいイギリスで、反面教師の絵本として人気を呼んだのは、子供への教材として意義があった。
教育係の変人ブッキーの存在があってこその、ソドー島のきかんしゃトーマスだった。
とかく物語の主題を考えることのない表面的なにほんのファンは、表面のカワイイに支配され、結局は経済効果だけの植民地文化に突進する。貴重なこの国のオモテナシが目の前で失われて行く。
そこに付け入って商売をしているのは、原作権をもつソニー・プロダクツのワールドワイドという名のシステムだということだ。
機関車トーマスは自然遺産の風景になりえますか
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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