ようやく犬の時代が終わろうとしている。
このところ別荘地でも、子犬を連れた、いや子犬に連れられた朝のお散歩がめっきり少なくなった。
1900年代の子犬ペットブームのアイドルたちに寿命が訪れていることと、飼い主の高齢化が影響している。 飼い主に朝夕のお散歩を要求する犬たちと、付き合うだけの体力がなくなってきた。
ペットは犬から猫の時代へと移ってきたのだ。
かってシュバイツァーが、「惨めさから抜け出す方法は二つある。それは音楽と猫だ」と発言した。
気まぐれでわがままな猫は、飼い主の意志に反して日がなマイペースを連ねく。「猫なんかよんでもこない」という著作に注目が集まっているのはいい例だ。
電気もつけずに暮れなずむ空を見ている窓辺の老人のかたわらには、必ずと言ってイイほど猫がいる。
猫はじゃれつくことなく飼い主にそっと寄り添う。この距離感がとてもいいという友人のいえには、10匹以上の猫が住みついている。公園を歩いている時、ひとりぼっちの猫を見つけると放って置けないのだそうだ。たまに猫に噛まれて血だらけの手をしていても猫が悪いとは決して言わない。猫的感覚と自己感覚がダブって心地いい人生を送っているのだろう。
亡き向田邦子も猫を愛していた。原稿を書くという孤独な作業の時、どこか部屋の片隅で見守っている愛猫が愛おしい、といっていた。
招き猫だけではなく、猫には化け猫というのもいる。不実を働くと化けてでる、悪さをするという困ったちゃんもいるのだ。
バカ売れの猫本や、猫アプリに騙されてはいけない。
権力は犬から猫へ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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