「ペット歓迎」をかかげたレストランやら、喫茶店、ペンション、はてはホテルまで、夏になると其処個々に増殖する。軽井沢の夏は、やたらペットが威張っている。
旧軽銀座を歩くと、別荘族やら観光客のペット連れが眼につく。一匹ならともかく、毎日三匹、四匹のお犬さまに引っ張られて歩いている。これでは人間としての自分の暮しのスケジュールは不可能で、すべてはペットの都合でしか日々を送れないだろう、と人間さまの行く末が心配になる。
ところで毎年70万頭の犬猫が行方不明だそうだ。ペットショップの売れ残りやら、飼い主に捨てられた哀れな犬猫、秋風が立つ頃になると、首輪のない棄て犬が山道をとぼとぼと歩いている。ついこの間まであんなに可愛いがってくれたご主人様は何処へ行ってしまったのだろう。棄てられた犬は、二三年前に流行った犬種が圧倒的に多いという。
ペットフード協会の調査によると、国内の飼育頭数は、犬1190万頭、猫960万頭、計2150万頭と推定され、平均寿命は約14歳というので、割り算すれば平均毎年150万頭が新たに流通している計算になる。ここに目先だけの利益を追求する悪徳ブリーダーや、オークション業者が入ってくる。深夜販売、移動販売、店舗販売、イベント販売と多角的に手を尽くすが、完売することはない。
残った犬猫は、ダンボールに入れ何処かに放置して衰弱死させるか、一般市民を装って保健所にもちこみ、殺処分にしてもらうか、いずれにしても生き物であるから、簡単に廃棄という訳にはいかない現実がある。
別荘地に放置して都会に帰る飼い主の無責任はともかく、ペットまで商品にして、今年流行の犬はこれ、猫はこれ、と煽るメディアにも罪はある。
棄て犬の行方
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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