東横インの女支配人たち

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東横インの女支配人たち
 4万8831室100パーセントの稼働率を達成して、ギネスの認定を受けた、という報道に驚いたが、もっと驚いたのは「東横イン」というホテルチェーンが日本最大であり、日本、韓国はもとよりドイツのフランクフルト、フィリッピンのセブ、モンゴルのウランバートル、フランスのマルセーユなどにも近々オープン予定だということ。
 そもそも東横という表現は江戸っ子にとっては、渋谷を起点にした私鉄の名前であり、そこに隣接してたっていた百貨店が東横デパートであった。東横デパートの屋上には観覧車や飛行機、それにお稲荷さんもあった良き時代のワンダーランドだったのだ。その渋谷がまつたく様相をかえて21世紀の未来都市に衣替えしようとしている今、東横インという名のビジネスホテルが日本一と聞くのは、なんともびっくりポンなのだ。
 長野のある集りで、東横イン長野善光寺口支配人寺沢啓子さんの卓話をきいた。
 まず全国東横インの支配人は全員女性と聞かされエェッ!と驚いた。170人いる支配人がすべて女性だという。社長もアラサー女性の黒田麻衣子さん。
 宴会パーティなどは一切受けない、宿泊に特化したシンプルなホテルだからこそ、女性の特性が生かされると納得した。
 ホームページで、170人いる支配人のご挨拶を覗いてみると、パターンが決まっている。大きな声のご挨拶と笑顔の接客、きれいな部屋をお約束します、とパターンが決まっている。料金は変動型だが、充分にリーゾナブル、その上この種のビジネスホテルを利用する出張族の急所を押えている。
 ビジネスパック100、200、300、というくくりの値段設定があり、それぞれに1.000円 2.000円3.000円ののVISAギフト券がついている。つまり出張費のなかでお土産代を捻出できる仕掛けになっているのだ。そのうえ朝食は無料、そのあたりに女性支配人の趣味が生きていると見た。副食に切干大根やらひじきなどがついている。
 支配人たちの集合写真をみると、ショートカツトの知的タイプあり、メガネボブのオネェサンあり、気持ちのわるい細い眉毛のお局さん風、お風呂と間違えたロンゲのおばさんありで、女性を束ねる女社長の大変さも充分に伝わり、女性の時代の女たちの困難を感じた。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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