束芋という天才映像作家が軽井沢の里山に棲んでいる。といっても世界を舞台に仕事をしているので、たまに軽井沢の両親のもとに立ち寄る、といった処か。マネージメントを担当している妹さんの名は芋芋。なぜに束芋かというと、田端家の次女、つまり田端の妹ということでタバイモと呼ばれ、その下の3女はさらに妹ということで芋芋となったらしい。その束芋さん(かなり美人)が横浜美術館で3ヶ月におよぶ映像展を開いている。自らの世代を「断面の世代」となずけ自由な構成空間に批評的であったり、前衛的であったり、世代感覚にみちあふれた映像インスタレーションを映し出す。哀しい残念な世代だといいながらも、丁度彼女が生まれた頃、発生したヴィデオ・アート全盛期を彷彿とさせるエネルギーに充ちた展覧会だった。ソーホーのスタジオで洗礼をうけたヴィデオ・キッチンやヴィデオ・シアターのあの時が駆け巡った。今回の作品の発想点になったトータル・エクリプスという芝居も見たが、記号化された言葉とアクションのパターン化に、人間と言葉の軽さをみせつけられ、ケイタイ演劇とも呼べるやり切れなさに襲われた。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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