書道の芸能化は退廃への道

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 新しい年を迎えて「書初め」である。
 昭和世代の学びは、書初めに始まった。上手くとも、下手でも墨をすり、筆を整え、半紙に向かい新年の覚悟を書くというのは、朝寝坊の正月を覚醒させ、明日からの一年を考えさせてくれた。
 書初めの習慣がいつ頃からはじまったのかしらないが、正月の書初めは幼心の所信表明であったような気がする。
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 最近の流行は「書道パフォーマンス」やら「書道甲子園」。
 JK女子が袴をつけ、アイシャドウをいれ、不思議な趣味のきもの姿で気合とともに大きな紙に挑む。書かれる文字は「ごもっとも」な文字がならぶのだが、それまでのプロセスがなんとも承認欲求の権化のような見世物なのだ。
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 筆意を汲みとり、作品の背景、テーマの精神性を表現する「意臨」という書は昔からあったのだが、最近のJK書道は、ダンス甲子園と電通が合体したような見世物になっている。書き始めるやいなや、同じ書仲間のヒップホップが騒がしく踊る。書きざまをみたくとも下手なヒッホップが邪魔をする。なかには長い布さらしで駆けずり回り、バケツの墨も大きな筆も見せないようにする演出過剰がはびこる。
 JKたち本人の趣味なのか、書道教師の勘違いなのか判らないが、書道のパフォーマンス化、書道の芸能化は、国民をますます阿呆にするための興行としか思えない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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