握手は親愛のあらわれ、握手は感謝のしるし、握手は別離への悲しみ、握手は報酬を求めない。
AKB48に於ける握手会は異常な光景だ。コンサートを聴いていただいたから帰りにファンの皆様と握手をする、といった清々しさは全くない。
ここでは「握手」そのものが商品だからだ。ファンは握手をしてもらう代償としてCDを買わねばならない。
CDに添えられた握手券がなければ握手の列に並ぶことが出来ない。少年たちは握手して貰いたいために何十枚ものCDを買う。何百枚買っている少年もいるという。陳腐な芸能に魅せられた口数のすくないおとなしい少年が、凶行に及んだ今回の事件は起きるべくして起こった事件なのかもしれない。AKBは劇場型社会を逆手にとった最も下品な商売をしていると、断じたい。
メディアは握手商売のあざとさを突かず、セキュリティが甘かっただの、傷付いた二人の少女の今だのと、握手やハイタッチを商売にしているAKBへの非難はない。毎年行われる総選挙という名のCD拡販商売についてもAKBの宣伝隊と化し、なんとか自局の番組に出て貰えるよう揉み手で秋元康の元に近ずく。
海外のジャパン・ウイークなどで歌っているAKBを見ていると逃げ出したくなる。作詞に於いて才能のある秋元康は、これ以上自分のCDを売るためのイベントから手をひくべきだ。大衆の無知と情報社会のスキマを利用した彼のイベントは、メディアそのものを愚弄するものだ。
握手商品化への罰
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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