握手会という芸能詐欺

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 「握手会」という得体のしれないものが、興行の一ページに加えられているのは、日本だけかもしれない。
 コロナで人と人の接触が禁じられている今、握手会のために一途に働き、アイドルのレコードを何枚も購入してきた若者たちは、みな「握手会ロス」に陥っていると言われている。アイドルに近ずき、手に触れ、優しい言葉をかけられ、つかの間の握手に酔う、、素朴な田舎の青年にとっては天国にのぼるような至福の瞬間であったにも関わらず。
 
 「握手会ロス」は観客だけでなく、出演者側にもあると聞いておどろいた。なにも考えることなく、人前で踊って歌えれば、それこそ我が青春という、オバカそのもののような女の子たちは、ファンの男の子達との握手のぬくもりが忘れられない。CDの購入枚数によって握手の時間が決められる、という行為は売春婦モドキの行為である、ということに気がつかない。
 「君たちのおこないは、キャバクラのオネェサンにも劣る忌まわしい行為」だと言われても理解できない。みんな一緒の洋服をきせられ、同じ振付で、同じ曲を歌い、舞台にたって人気を競う。結果は握手会と総選挙に現れる。人気の投票権はCD売上枚数にあるという点がトリックである。
 
 握手会というのは、そもそもジャニーズから始まった。
 一枚でもCDを買ってくれたファンへのお礼の気持ちというのが当初の握手会だった。
 その握手会がいつの間にか営業のツールに出世したのが、AKBを始めとした坂道グループだった。コンサートの後のCD購買枚数に比例して時間をうる少女たちの握手会だった。
 さらにCD販売枚数を増やそうとかんがえられたのが、女の子達の人気投票…すなわち「総選挙」である。CD一枚につき、投票券が一枚はいっている。田舎の青年は贔屓の女の子のため、投票券のために10枚、20枚とCDを買い込む。一枚かえば充分なCDを無駄に沢山買わせる詐欺商法といえる。
 この仕組みを考えたアキモト某には、莫大な著作権料が転がり込む計算になっている。
 こうした悪しき慣習を見逃す芸能界にも責任はある。儲かりさえすればいいという同じ土壌にたっているので、自浄能力が全くない。
 コロナとともに心成らずも発生した「握手会ロス」多いに結構な事態と思えるが、如何。
 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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