手ぶらで歩くおじさん

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 10代、20代はもとより、アラ・サー、アラ・フォー、アラ・フィフまで、あらゆる年代層のためのファッションとファッション誌が用意されているのが女性たちだ。
 それにひきくらべ、男たちはかなり貧しい。若いカジュアルとチョイワル・親父のためのイタリアン・ファッションぐらいのもので、あいだを埋めるのはAOKIか青山の労働服、グレイかブルーのお仕事ルックしかない。
 いま売れている話題の本に「おじさん図鑑」があるとしらされた。早速に取り寄せてページをひらいた。
 いきなり「普通のスーツのおじさん」がでてきたので次はと期待したが、「半ズボン+革靴のおじさん」「ハイウェストのおじさん」「全身白っぽいおじさん」「全身茶色っぽいおじさん」「NIKEキャップのおじさん」ぐらいがファツションにかかわった例題で、あとはもっぱらおじさんライフスタイルの批評図鑑だった。
 もちろん「お疲れのおじさん」「たそがれるおじさん」など心当たりのおじさんもあり、「ぽっこりおなかのおじさん」にはおもわずおなかをかかえてしまった。
 軽井沢でよく見かけるのは、「正体不明のおじさん」一度見たら忘れられないインパクトがあるが、その彩やしゃべり方、身ごなしは理解不能。判りやすいのは「スポーティなおじさん」「リュックのおじさん」おじさんの背にするリュックやナップザックは機能一辺倒のものか、あるいは手にはいらないレアモノだという。「てぶらのおじさん」このおじさんは、まま立ち止まって、軽く鼻をほじったりする。てぶらで、立派な背広をきて花見小路をあるいているのは、「祇園であそぶおじさん」にほかならない。
 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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