成蹊人らしかった安倍晋三

　虎ノ門病院で歯の治療を受けている時、耳元で先生が呟いた。
　「安倍さんがやられた。大変なことになる。」始めはなんのことか判らず治療台を降りてから改めてきいた。
　安倍さんが狙撃されたというのだ。えっ、本当ですか。何処で、何故？……
　安倍さん嫌いという人は結構いる。理由は、と聞いてみると例外なくモリトモ、桜の会という人が多い。
　朝日、毎日のリベラル系新聞などの論調にすっかりはまってモリトモだけの例外と信んじているが、、国有地払い下げの問題は昔から教育機関優先は当りまえだった。安倍さんが口をきかなくとも、お国は恐らく教育機関優先で払い下げたと思う。
　それだけではない。教育機関と同じぐらいお国が気を使っていたのが、新聞ジャーナリズムである。
　朝日新聞が有楽町から築地に本社移転したときも、国有地払い下げで便宜をうけて本社建設をしたのは朝日新聞だった。
　自分のことは棚にあげ、異常にモリトモにこだわるのは何かほかの思惑があるのだろう。
　桜の会にしても、ホテルが顧客のために５．０００円でパーティを引き受けることはいくらでもある。現に学会関係のパーティはほとんど五千円というのが常識になっている。仮に飲み物代がいくらか不足したので事務所が出したところで大騒ぎするほどのことではない。
　リベラル派は見方が偏狭で少しばかり根性が歪んでいる。
　安倍さんほど無欲でお人好しの政治家は近年いなかった。
　金を貰った政治家はやまほどいたが、安倍さんは金を貰っていなかったというのが気にいらなかったのかもしれない。
　そのうえ民族主義的右翼という戦後忘れられてきた中心軸に立っていた政治家というのも、マッカーサー護憲派には気にいらなかったのだろう。
　成蹊学園という同じキャンパスに学んだ筆者にとっても、多くの成蹊人のなかでもっとも成蹊人らしかったのが安倍晋三だった。
　桃李不言　下自成蹊　……　の教えをもっとも体現していたのが安倍晋三だった。　　　　　　　祈ご冥福