愛いっぱいの「ジュ・テームの壁」

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 あの巨星ダリをして「神々しい入口」といわしめたパリ・メトロの入口、エクトル・ギマール デザインの駅はいまふたつしか残っていない。そのひとつが12号線のピガールからひとつめのアベス駅だ。モンマルトルの丘の中腹に位置している。そのアベス駅を出て振り返ると広場の向こうに小さな公園がある。その公園の一隅に612枚の碧いタイルで作られた「ジュ・テームの壁」。作家フレデリック・バロンの作品で、300の言語で「愛してる・Je t`aime」のことばがかかれている。エジプトの古代象形文字から中国語、韓国語、日本語まで、ぎっしりとタイルの上に白文字で、あるいは几帳面にあるいは走り書き風に書かれている。若いカップルはその壁のまえで誓い、記念写真を撮り、唇を交わしている。横のベンチにはさめてしまった老夫婦がひがな新聞を読み居眠りをしている。へだてる壁のイメージを心を繋ぐ平和のイメージにしたかったというのが、フレデリック・バロンの願いだったそうだ。このジュ・テームの壁はパリの愛の巡礼地として、若者達の心をひきつけている。軽井沢にもこうした壁がどこかにあったら、恋人たちの関心を繋いで、インバウンドの目玉のひとつになったことだろう。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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