かなりインテリのセレブな女性たちが集まって午後のお茶会であった。
芝居のはなし、新しいレストランのはなし、お花のはなし、アートのはなし、ひと通り回って愚痴ばなしにたどりついた。 「私たちのおしゃべりは、所詮グチの一生ね。社会には何の役にも立たないのよ。」と自嘲気味に結論はまとめられた。
十代の学生のころは、勉強しろの、早く帰ってきなさい、という互いの親のグチに花が咲いた。大学時代はカレシのぐちと、親からの見合いのグチで朝まで時を忘れてオシャベリに励んた゛という。
OLになると、もっぱらセクハラの上司のグチと、意地悪なお局さまのグチに話題が移る。 同期の男子社員のグチも加わる。いい気になって男子のグチに同調していると、ある時…実はカレと結婚するの、ととんだ裏切りに会う。
結婚してからは、姑のグチになる。料理のこと、掃除洗濯のこと、いちいち煩い。やっぱり姑は別居に限るわね。未婚の小姑がいたら最悪。あれやっぱり焼きもちじゃない。そのうち子供のグチになり、ママ友とは先生のグチ、お受験のグチ、子育ての手が離れると第二の青春とばかり、お洒落のグチ、習い事や同窓会での男のグチ、目覚めたアラフォーは、美容整形通いが始まるそうだ。
息子が結婚すると嫁のグチに命を燃やし、やがて定年の旦那のグチに代わっていく。
みんな集まってカラダのグチ、介護のグチを言うようになると、そろそろ女の一生の終わりが近ずく。
愚痴(グチ)の一生
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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