ポケモンGOの配信以来、私のようなゲーム嫌いでもゲームのことを考えざるを得ない場面に出くわすことがある。長い間VRバーチャル・リアリティといわれて、気にとめていなかった人工現実が泥靴で視野に入ってきた。
ひっそりと自室にこもってやっていたゲーマーたちが、街角に進出してきたのだ。
処かまわず時かまわずそこいらじゅうに拡散している。
現実を享受して生きている平凡な生活者にとって、こんな迷惑なものはない。
ポケモンGOは悪魔のゲームである、という断罪に100パーセント賛成である。ありえない仮想現実が、原宿や湾岸や日比谷をうろうろされたのではたまったものではない。頭のお寒い政治家が、国会のなかで「私もポケモンGOをやってます」にいたっては、世紀末どころか世紀破壊中なのだ。「授業中のポケモンGOは退学に処す」と厳しく指導している田舎の学校もある。
配信直後には、近畿大学の学生がゲームのなかで、階段から転げ落ち救急車で病院に運ばれるという現実がおきた。海外で言われている「病院へGO!」がリアルになったのだ。
1990年代、ハリウッドでもっとも稼ぐ監督といわれていたティム・バートン監督がつくった作品に、ハリウッド史上最低の監督を描いて話題になったエド・ウッドという映画があったが、そこに登場するニュースキャスター「クロズウェルは予言する」というバーチャルの中で、「人類がみんな楽しく気が狂う」という情景が現実になってしまった。
仮想現実VRにしろ、拡張現実ARにしろ、登場のしかたがまずかった。
高齢者社会における医療、教育実習、航空技術、戦争シュミレーションなどの切り口から入ってくる分には抵抗がなかったかもしれないが、いきなりゲームで街角を占拠したのでは、科学の領域をこえてしまっている。
3000億の市場が8年後には8兆円を超えると言われているが、、それこそVR酔いそのものではないか。
すでにCGか、本物か区別のつかない映像が氾濫して、人間から想像力を奪っているが、この現実が際限なく拡張していくと人類は確実にバカになる。
悪魔に支配され、楽しく気が狂うのだ。
悪魔がやってきた! ポケモンGO
コメント
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す