恐怖!異常豪雨のなかのドライブ

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 伊那谷のリゾート・駒ヶ根の音楽プロデューサー三沢照男さんのスタジオを目指した。
お嬢さんのNOZOMIちゃんがパリから帰省しているという。NOZOMIちゃんはピアノの新しい奏法を東京で紹介するために帰国しているのだが、パリでお世話になったままで撮影した作品も見てもらっていなかったので是非という訳で、お盆の中日のドライブとなった。
 いろいろな人が集まっていた。プラハで生まれ、モンマルトルで10年働いた後、大鹿村に住み着いたタッツケ姿のワインさん夫妻、軽井沢ラブソンク゛アウォード第二回で入賞した中川村の曽根君は、いまワイン造りを目指しフランスへ行って来たばかりだという。東京で永いこと編集にたずさわり、パリ通いの末いまは充電中という宮田村の白田泰子さん、30年前、共にオペラ創りに苦労した春日さん始め伊那谷の元お嬢さんたちは、最近もフランスでコンサートを開いてきたという。
 エネルギッシュな南信のフランス好みが集まって楽しいひと時を過ごした。さすが人集めの達人三沢さんのコエカケだ。パリ体験充分の皆さんにもあまり眼にすることのない映像が多く、概して喜ばれたようだ。
 さて問題の帰り道、折からの諏訪湖大花火の日だったので、何万人の車にぶつからないように時間をずらして駒ヶ根を出発した。伊那・高遠辺りまでは無事だったが、辰野を過ぎたころから急に空が重くなり、前方に稲妻が何本か走った。と思う間もなく、大粒の雨がフロントをたたき、あっという間にバケツをひっくりかえしたような豪雨に襲われた。忙しなく動くワイパーも全く役に立たず、滝のように襲い掛かる雨は60年のドライブ経験のなかでも始めての恐怖だった。高速道路では止まるわけにいかない。大事故を誘発してしまうからだ。前の見えない恐怖のなかを走りつづけた。時折、よこを突っ走っていく大型のトラックが、輪をかけて水を浴びせる。岡谷から諏訪湖をすぎ、塩尻、松本辺りまで走ってようやく空が落ち着いてきた。
 恐怖の体験とはこいうことだ、軽井沢に戻って始めて落ち着いて反芻した。シアワセと恐怖の貴重な駒ヶ根行だった。 
 
 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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