カバーをみてなるほど、と思った。店頭でヒラ積みにした時、圧倒的に眼をひく。
モノクロのブリジット・バルドーの媚態を背景に、ピンクの大小濃淡のハートが幾つかとんでいる。いちばん大きなハートには「恋に溺れて女になる・山口路子」この本のタイトルだ。「腐る恋と熟成する恋の見きわめ方」濃いめの中ぐらいのハート、「わりと単純な色気の正体」「どんな恋も後悔をしない極意」薄いピンクのハートの白抜き、そして周りには小さなハートがいくつか散っている。
コピーに惹かれる世代が、ブリジット・バルドーを知っているかどうか少しばかり心配だが、なかなかに時代のキャッチーに充ちた弾むような表紙デザインだ。
バルドーが人気を呼んだあの頃、彼女の愛称B.B べべに因んで、フランスではK.K キキとか、M.M ミミとか、いろいろなイニシャル合わせの名前が流行した。ド・ラ・ギャレットの古い風車に通じるルピックの坂道では、いつもぺぺと言う名まえの可愛い少女が遊んでいた。眼が合うと走ってきて、ベーゼと笑顔をくれた。
ピアフ、シャネル、ジャンヌ・モロー、サガン、コルネイユ、チエホフ、サルトル、ボーヴォワール、与謝野晶子とオールスター・キャストの恋愛教則本だが、近頃流行の心霊・陰陽・占星の恋愛本よりは遥かにいい。デジタル神様の女性たちには無理だが、正しく躾けられた文学少女にはとてもよく効く本になっている。
…愛することはただ「大好き」ではない。理解すること。理解するというのは見逃すこと。…余計な口出しをしないことです。作者の経験が見えてなかなかに嬉しい。
恋に溺れて女になる
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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