心配始めの成人式。

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 成人式の報道が賑わっている。幸いにして今年はヤンチャな暴動騒ぎは起こらなかったようだ。
 女性成人は申し合わせたように色彩過剰な振り袖に白いイミテーション・ファーの襟巻、都会の真ん中でも、東北の田舎でも、離島でもみな同じ振袖、白い襟巻に身を包んでいるのが凄い。貸衣装屋の寡占化なのか、それとも取材のカメラが振り袖萌えなのか、よく判らないが普段個性個性というわりに押し並べて同じ振り袖が成人式の制服化している。
 成人たちを迎えるのにソフトキャラの縫ぐるみを並べて歓迎握手というのもあった。さあ今日からは縫ぐるみを卒業して現実の社会に生きようというのが、当たり前の成人だと思うのだが、縫ぐるみに迎えられて喜んでいる新成人というのも良く判らない。社会全体の幼稚化現象かも。
 壇上からAKB48のアイウォンチュユーを得意気に歌って舞台から飛び降りた市長がいたが、客席の新成人はみな引いていたようだし、オバカな市長を選んだ市民の顔が見たい。
 マイクを向けられた新成人達は「仕事がない」「就職がない」「就活に頑張ります」と眼の前をぼやくばかりで、志がまったく見えなかった。夢や理想を語るリーダーや教師に巡りあってこなかったのだろう。「成人の年齢引き下げ」を標榜していた民主党もすっかりお忘れになったようで、十代の凶悪犯罪が起きるとまたぞろ思い出したように「成人年齢の引き下げ」を云いだすのかもしれない。
 なかには「私はネットで成人式に参加します」といった女子がいた。ネット上の仮想空間に成人式があって、自分でつくったキャラクターが参加するというのだが、引き篭もりの大人を作り、慇懃無礼な言葉知らずの女になってしまうのでは、と新年の心配始めをしてしまった。
 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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