近大マグロその後の試食報告である。
養殖不能と言われたマグロが近畿大学水産研究所の不屈の努力によって、成功したというニュースはとても嬉しい出来事だつた。がいつも付きまとうのは、あの大間のマグロに負けない味がするのだろうか、という疑問だった。
銀座のギャラリー桜の木で打ち合わせの後、食事に出ようということになった。ダイエット成功の社長が、珍しくナニニシマショウと質問を投げかける。寿司やだらけの銀座で今更寿しでもなく、かといって真昼のステーキほどのパワーもない。電通通りを歩きながら、そうだ近代マグロがいい、近大マグロを食べてみようという結論に至った。
目的の店は、東京に初めて出来た高速道路下のコリドー街にある。桜の木からは近すぎるぐらいだ。そこだけに15,6人の行列が並んでいて、すぐに判った。
近畿大学卒のマグロやは、大阪についで銀座が二軒目だそうだ。
「近畿大学水産研究所」という看板が上がっている。研究所という名前の飲食店が、何故か嬉しい。
大きな丼の海鮮丼も魅力だつたが、初回はマグロ中心のお刺身ご膳(2400円)を注文した。
運ばれた来た刺し盛には、マグロを中心にマダイ、シマアジ、カンパチなど、いづれ近大卒の魚がほどほどの分量で盛られていた。
…口に運んで驚いた。脂ののりも、身の密度も、きめの細かさも、包丁との相性もばつちり、味も上等だ。長野の寿司屋などで出されるマグロをはるかに超えている。
これなら充分である。マグロを獲ることで世界中のバッシングを受けることもないし、正月恒例のあの高値マグロの落札騒ぎに付き合うこともない。 …改めて近畿大学に感謝した昼飯であった。
年の瀬の近大マグロ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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