さて手土産はどうしたものか…と考える間もなく「我が家の晩飯は魚と日本酒です。」というメールがきた。永い間仕事を共にしている名ミキサーの山中湖別荘への招待。ついでに夕映えの富士を撮影し、そのあと供宴に与ろうと出掛けた。同行の友が酒仙なので、酒はそちらに任せ、魚を担当した。身のしまって脂ののった美味さといえば、この季節寒鰤を於いて外にないが、さて軽井沢は山のなか、日本海の天然鰤が手に入るだろうか。当日まで不安だったが、地元のスーパー・つるやは見事に答えてくれ、壱㍍に足りない天然物を氷づけにして用意してくれた。今日は少し小さめで申し訳ない、と言い訳付だが、寒鰤1本を土産に友を訪ねることなど初体験なので、勝手に納得してクルマを走らせた。さて晩飯をむかえると、鰤は見事にオロサレ刺身となり、その後鰤のしゃぶしゃぶを楽しみ、ブリ大根が添えられ、鍋は最後にオジヤとなって堪能した。酒仙ふたりは「十四代」やら「久保田」やらとウンチクに花を咲かせ、ワインも昔は飲んだが面倒くさい酒だと、一刀両断にしていた。なるほどと同意して、ひと足お先に横になった山中湖初冬の一夜であった。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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