姿カタチのオバカ規制。

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 姿カタチ優先のオバカ社会が、かなりの深度で進行中だ。
 姿カタチといえば、単純にはミスコンテストを思い出すし、さしずめモデルという職業も姿カタチが第一条件だ。中味は問わない、とりあえず見た目が勝負という判りやすくオバカな規準である。
 「A級品は曲がりが1・5㎝以内」味は問わない、というきゅうりの規格をつくったのは農林水産省だし、ついでにたまねぎ、レタス、キャベツ、トマトなどにも規格を作って、農民の脳みそを思考停止状態に追いこんだ。以来真っ直ぐなきゅうりが店頭に並び、曲がった美味いきゅうりはみあたらなくなった。うちのきゅうりは、曲がっていてもとても美味いし栄養がある、と主張しても農協は取引してくれない。
 農薬や肥料を農協から買い、農協から借金して農業機械を買う、経営の実態を農協ににぎられていては、流通産品の改革などは望むべきもない。
 清里の農場や長門牧場で飲む牛乳が、びっくりするほど美味しく驚くことがある。搾りたてということもあるが、良く聴いてみると、農協出荷の牛乳は味噌クソ一緒、美味いもの不味いもの全部混ぜて出荷するからだという。これも農林水産省生産局長が犯人だそうだ。牛乳は「全量委託」か「独自ルート」か選ばねばならず、全量独自ルートは酪農家にとって大変なので、どうしても全量委託で、ほかの牛乳と混ぜる道を選ばざるを得ない。牛乳の味の良し悪しに関係なく買い取り価格は一律、腕のいい酪農家のモチベーションは下がるいつぽうだという。
 日本の農業の足腰を強くするには、こうした農産社会主義を廃絶し、農民それぞれの創意工夫にまかせるのが第一ではなかろうか。ここにもオバカな規制が立ちはだかる。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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