正月にはいろいろの人に会う。「おめでとうございます。」うっかり言ってしまうのだが高齢化社会を迎え、よほど注意しなければ礼を失してしまう。眼に見えて喪に服している人が多いのだ。高齢化人口がますます増えれば、正月からオメデトウの挨拶はなくなるかもしれない。また久しく眼にしていない着物姿の女性に会ったとき、思わず「日本美人だね」これも禁句、典型的な日本美人といわれて喜ぶ人はすくない。「日本人離れしているね」これが喜ばれる。あなたは日本人だけど日本人じゃないと評価されるのが、嬉しいらしい。深層心理のなかで、日本人を棄てて、アメリカ人になりたいとでも思っているのだろうか。それが証拠にディズニーランドに行ってきたと誇らしげにいう。日本語に対する愛情も極端になくなってきた。薄い政治家が子供のときから英語教育をすべきだといっているが、日本語ほど情感にとんだデリケートな言語はない。敬語のない英語なんぞは欠陥言語の見本のようなものタメグチだけが育つ。インスパイアーされるというカッコのいい言葉によって心の動きや感激努力がすべて記号化されて薄い精神風土が出来て行く。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す