「トリプル・サルコ! ダブル・トウループ! ダブル・トウループ!」「ダブル・ループ!」「ダブル・ルッツ」どや顔ならぬドヤ声でいちいち喚く。テレビに映っているのだから、映像に写っている技術のタイトルはいらない。どうしてもそのテクニツクの名前を知らせたければ、画面のスミにスーパーをいれればすむことだ。
限界にいどむ選手がいて、音楽がなっている、そこに割り込んでくる頭の悪い解説、終わると花屋の大売り出しのごとく安い花があちこちから投げ入れられ、子供の喜びそうな縫いぐるみが渡される。贈り物をいっぱいに抱えた選手は、ドサ廻りの役者よろしくスタンドに戻ってくる。
音声は「感動した」を繰り返すジャニーズのタレント、母と子の人情話にしたいのがみえみえの司会、新興宗教の広告塔になった女子アナは安っぽい人間賛歌をくちにし、純粋なスポーツのカタルシスは何処かへ飛んでいってしまう。
この国の女子フィギュア・スケートは、まるで子供の国の見世物のようだ。
そもそも先進国では女子シングルのフィギュア・スケートはあまり人気がない。アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トウループとジャンプ・コンビネーション、ジャンプ・シークエンス、の組み合わせで、スポーツとして予定調和がいっぱいでスリルがない、というのだ。どうせ見るなら、男女ペアのほうが、はるかにスリリングでテクニカル、アイス・ダンスのほうが10倍楽しいという。
テレビ中継も、主役はペアのフィギュアだし、アイスダンスや16人のシンクロ・フィギュアがしばしば画面を賑わす。フィギュア・スケートの世界では日本はまだまだ後進国なのだ。
女子フィギュアの後進性
コメント
1件のフィードバック
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いつも、拝見させていただいてます。
私もペア競技の方が好きです。
そんな中、今回の全日本で、日本代表に選ばれた、
こまっちゃくれた、気の強そうそうな高橋成美に将来を感じました!
一度でも、あのこがバラエティ番組にでも出場すれば、一気にペア競技の人気が高まるキャラクターを感じました。
選手層が深い女子フィギアの世界。
早めにシングルに見切りを付けて多くの子達がペアーに転校してくれる事を切に期待する一人です。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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