女上位の鳥社会

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 山階鳥類研究所の元所長先生のお話をきく機会をえた。山階と聞けば、秋篠宮が総裁だし、島津久永氏が理事長なので、いかにも皇室御用の研究所だ。客員研究員には、黒田清子さんも名を連ねている。
 鳥類の研究とやんごとなき人々の組み合わせは、なんとも絶妙な関係であるといえよう。
 1981年に、山階鳥類研究所は沖縄北部で絶滅したと思われていた「ヤンバルクイナ」を発見、鳥のくせに空を飛べない「ヤンバルクイナ」は世上を賑わせた。タモリなどは、この機能不全のヤンバルクイナを話題に随分と笑いを取っていた。
 山階は最近「アホウドリ」の復活に力をそそいでいる。羽毛採取の犠牲となって絶滅寸前までいった「アホウドリ」を2000羽程度にまで復活させた。それでも「アホウドリ」は海に流れる発砲スチロールやゴム状プラスティック、梱包てーぷ、輪ゴムなどを胃に残して死に至る場合が多いと報告された。どこまていってもアホウドリという前に、人間様の行いを正さない限り鳥たちの不幸は続ずく。
 そうした真面目な研究活動を続けている山階の所長さんとあれば、さぞや真面目なカチカチのお話と思いきや見事に予想を裏切られた。話題は鳥たちの生殖行動と人間の比較文化論であった。
 鳥の雄たちにみられる種々さまざまの求愛行動を、雌がどう感じているのか。そうした視点から雄と雌の力関係、雄が縄張りをつくって雌を迎えても、なかなか許して貰えない雄の悲哀、…すべての雌から拒否され、心ならずも独身で終わる雄の存在など、どんなに華やかな求愛ダンスをしても振り向かれない雄の存在、結局は鳥社会も雌が決定権をもっているジェンダーな社会だ、というお話の鳥社会学だった。
 人間様の独身率は、ついに20パーセントに近ずいたと発表されたが、鳥も人間も同じような生活を営んでいるのだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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