21世紀の掛け声と共に始まった「女による女のためのR・18文学賞」この辺りにすでに萌芽があった。
書き手も選考委員もターゲットもすべて女性という文学賞だったが、当初は菓子屋に並ぶ女性目当てのお飾り過剰のケーキや、リボンのついた甘色の雑貨を想像しあまり興味をもてなかった。
がいまや世界は、女による女のための官能だらけ、2013年は女の官能元年と煽り立てるジャーナルすらある。
docomoのBeeTVから配信された「キスがしたい キスがしたい 愛されたい 貴女だけのラグジュアリーな映像」BRIGHT×キス×kiss×キス 特別限定永久保存版は異常な売れ行きで、購入者の九割は女性だといわれている。R-15の官能レーベルLOVE-Placeは、イケメン×エロス×恋愛ドラマを柱に「胸キュンドラマ」+「ドキドキエッチ」をミックスした作品を提供する女性向けアダルト・サイト、これも人気だという。
こうしたニュー・メディアだけでなく、角川文庫からは×♡クロスラブというオトナの女性を対象にした書下ろし文庫、集英社からはやはり女性対象の官能小説ベルベット文庫が創刊された。
「……隆一の指で恥ずかしいところをひろげられ、力まかせに突かれ、裏返され、また力まかせに突かれながら、私は自分を組みしく男のからだ、雄の生命力に陶然となつた。」村山由佳のアダルト・エデュケーションにみる冷静なタッチや、女性ならではの繊細な表現をみると、男性たちがいままで築いてきた欲望を掻き立てるだけのポルノ小説とは全く違うというのが判ってくる。
「五年前の忘れ物(益田ミリ)」にしても「失恋日記(柏木ハルコ)」にしても「女の庭(花房観音)」「ふがいない僕は空を見た(窪美澄)」みな自信をもって、アッケラカンと風通しのいい官能小説を書いている。
スカートを脱ぎ捨て、ズボンをはいた女たちの挑発なのだろう。
女による女のための……
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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