世界遺産といわれなくとも、死ぬまでに見たい日本の情景として、飛騨合掌の里へ行ってきた。東海北陸道とよばれる高速道ができたので、高山からは一時間たらずで、この日本の秘境にたどりつく。松本から
上高地をめざし安房トンネルを抜けて高山へつく。空き腹は飛騨牛に限ると肉や直営の食堂で満足し、古い町並の造り酒屋などを覗いて白川郷に向かった。
薄暮から電灯のついた合掌造りがテーマだったので、四時頃までに城山の展望台につけばいい。見事な村落風景だった。自然と調和し、自然の恵みのなかに人間が生きていくということはこういうことを言うのだろう。無理をしないが人間の調和力の限界まで助け合って作り出す建築美が点在し、限りなく豊かな山落があった。若いフランス人のカップルとともに、電灯のついた合掌造りの障子窓の幻想をレンズに収め、民宿に向かった。囲炉裏をかこんで岩魚をかじる嬉しい食事だつた。「結う」という里人のこころは、屋根を結い、家の柱を結い、暮らしを結う、あのフランス人の心にもしっかり結いつながれた合掌の里だった。
奥飛騨白川郷へ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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