NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率が一向に上がらず、局内スタッフは息消沈と聞こえてくる。
出演者の間では、主役の真央ちゃんが可哀想と同情の向きもあるそうだし、井上真央も「…私の力不足です」と暗くなる一方だと伝えられる。
が「花燃ゆ」不調の責任は一女優の問題ではない。この素材を選んだNHK編成スタッフが、まず
第一の責任を負わねばならない。第二の責任は無駄なスターシステムに頼ったプロデューサーにある。
女性向の大河にしたいからと、まわりにやたらイケメンを揃えてみたり、無駄なことばかりで、脚本の主題展開と設定に失敗している。
吉田松陰のドラマならともかく、妹の文にはなんの志もない。志のない文を主役に据えても、ドラマにはパワーは生まれない。みるものを引きずり込む主題がないのだ。視聴者はテレビの前に座っても、カタルシスがない。
民放のバラエティにひきずられたイケメン崇拝のキャスティングも情けない。大河ドラマの成功例をたどれば簡単に判ることを無視した当然の結果と言えよう。
耳障りのいい「女性に愛される大河ドラマ」などというお題目は安倍内閣にまかせ、もっと骨太のドラマにしなければ、視聴者は離れるばかりだ。
ましてやこれから坂本竜馬が登場するので、話題のキャスティングはジャニーズ系をなどという情報は、ますます花燃ゆを花枯れにするばかり。
NHKはすみやかにドラマの基本に立ち返えり、主題と主役の密度を上げ、文の行動なり内面を軸にした
ドラマティックな制作をするべきだろう。
大河ドラマ「花燃ゆ」の失敗
コメント
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す