久しぶりに読みたい本が登場した。
古事記から樋口一葉まで、約30に上る日本文学のカバー大全集である。いままではこの手の作品は、一丁上がりの大家が新釈と銘うってやる場合が多かった。とくに源氏物語の新釈版などは、次々とだされ、文学部のゼミやカルチャー・センターなどで持て囃されてきた。
がより長い眼で文学史を縦覧するような企画はなく、河出書房新社により池澤夏樹個人編集の出版が始まったのだ。
「古事記」池澤夏樹訳 「百人一首」小池昌代訳 「源氏物語」角田光代訳 「枕草子」酒井順子訳
「徒然草」内田樹訳 「説教節」伊藤比呂美訳 「女殺油地獄」桜庭一樹訳 「仮名手本忠臣蔵」松井今朝子訳 「好色一代男」島田雅彦訳 「樋口一葉 たけくらべ」川上未映子訳 …ほか
いま生々しい仕事をしている作家たちが、どのような解釈を加えるか興味はつきない。片寄っているセレクトは、作家個人編集と逃げているあたりがなかなかだ。
音楽の世界では、新しい作品に困った時、カバー曲とかカバー・アルバムが登場するが、この文学によるカバー・ルネッサンスが成功するや否や、興味はつきない。
いずれにしてもこの本の売れない時代、こうした王道の試みが登場したことは、とても嬉しい。
現代人気作家による新訳! 生まれ変わる日本文学全集。New Classic Novelとコピーにある。
売れない時代に売れる本
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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