土用の丑を救う「近大なまず」

by

in

news20130522_01.gif
 近代マグロで飛躍的に応募者がふえ、今や関西における私大の雄とまでいわれるようになった近畿大学に、次の切り札としてナマズが登場した。
 なんだ所詮はナマズというなかれ、近大ナマズは油が乗っていて肉厚、うなぎに迫る味わいで、お値段は国産うなぎの半額以下、品種改良で小骨をなくしてあるので、刺身でも食べられる、といいことずくめ。
 今年のテスト発売では、9割以上の顧客から「おいしい」という評価をえた。浦和辺りのがさつなナマズの経験者は忌避するが、品種改良されたナマズは、井戸水によって泥臭さの元になるバクテリアを排除したり、脂分を蓄積させるために新しい餌の開発をして、みごと「うなぎ味のナマズの養殖」に成功した。
 国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定され、近い将来うなぎが食卓から消えようというこの時期に、近大ナマズが登場し、土用の丑の非を救うのだからいうことない。
 脂がのって実がばさつかず、焼き鳥のたれにとてもよく合う絶妙なナマズだというのだからこのうえない。
 近大農学部水産経済学研究室の有路昌彦准教授には、文化勲章ぐらいだしてもいいかとも思うが、政府はこうした努力には振り向きもせず、ノーベル賞の後追いやら、消防団の勲章くばりにばかり熱心なのは、腑に落ちない。
 地球規模でつぎつぎと危機をむかえている食糧に対しもっと意を用いるべき、TPPの関税だけが政治ではない。  近大ナマズはすぐれたアンチテーゼでもある。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ