名優フランスを去る

　「才能や成功に対して、税金をかける国には居られない。才能に敬意を払うことなく侮辱するオランドは何様と思っているのか。」人気の名優ジェラール・ドパルデューがフランス脱出を宣言した。
　アラン・ドロンも、アズナブールも、ジョニー・アリディーもみなスイスに脱出している。
　建築家の友人もケイマン諸島に籍を移し、モスクワに事務所を持っている。なにしろロシアの所得税は貧富の区別なく１３パーセントだから、欧米の富裕層はぞくぞくとロシア人になっている。プーチン大統領はみずから欧米のめぼしい富裕層に声をかけ、国籍を上げますよ、とプロモーション活動をしている。
　財政難の折、フランスでは富裕税や、高額年収への７５パーセント課税が実現しそうだというので、とりあえずベルギーへの脱出が目立っている。ルイヴィトン・グループのCEOアルノーもベルギーに移り住んだ。
　ベルギーには富裕税はなく、有価証券取引税もなく、法人税はわずか９．８パーセント、家賃収入に対する税金はなし、という金持ち天国だといわれている。オバマに敗れたアメリカ大統領候補ロムニーもベルギーに住んている。
　亡くなった三宅久之さんのように、納税・愛妻・墓参りが趣味というような模範的国民ばかりなら、国境は安泰だが、地続きのヨーロッパでは、人々は簡単に移住してしまう。
　このままフランスが高額所得課税を強行すると、ファッション、映画、演劇、美術、スポーツなどの成功者たちは大量にベルギーか、ロシアに脱出することになりそうだといわれている。
　アベノミクスも、木を見て森を見ないと、とんだことになってしまうかも。