叱らない教育のはてに、残忍な同級生殺人事件はおきた。
佐世保でおこったこの殺人事件に対し、メディアはあいも変わらず更にカウンセリングが必要とか、もっと愛情を注げていたらとか、見当違いの人間論を繰り広げている。
まずこの事件には、道徳観モラルがぜんぜんない。犯人に罪悪感がないのだ。両親も教育現場もまったく道徳教育をしてこなかったのだろう。一緒に喜んでテレビのミステリーなど見ていた景色が眼に浮かぶ。
殺人という行為に対しての罪の意識がないし、殺人に慣れきった非人間な信じられない少女の姿が容易に想像できる。
人を殺す手段についても、冷静に鋸とハンマーを買いに行き選んでいる。人の殺し方については、ネットで情報を得たのか、それともテレビなのかは不明だが、ためらいのない生活行動の一環としてみれば、これまた放任の罪である。
叱らない教育の結果がここにも見て取れる。
自分の興味に対しては忠実だが、それによってこうむる周りへの迷惑や被害について全く心が及ばない。
筆者のまわりにもそうした人間を散見するが、自意識以外全く受け入れず、ワガママそのものであり、どこに行っても状況にたいする理解や遠慮がない。手の付けられない性格で固まっている。呆れた非常識なのだ。
ここでも叱らない教育の欠点があからさまだ。
「人の死に興味があつた」と言っているそうだが、哲学的な意味ならわかる、が全く即物的で人間観はない。
数少ない同級生への愛もない。恐るべきデジタル殺人なのだ。
叱らない教育、叱らない家族、叱らない社会が、こうした恐るべき無知と我欲だけの人間を創りだした、と考えるが如何。
叱らない教育のはての同級生殺人事件
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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