古都京都には東寺の弘法市と錦市場位しかない。
パリにはいろいろな市があって楽しい。
いちばん古いのはクリニャンクールにある「蚤の市」、パリ再開発の折あちこちにあった廃品回収業や古物商を追い出して、城の外に集めたのがこの蚤の市といわれている。ナポレオンの帽子やら、ブリジット・バルドーのバック、モリエールの椅子と、なんとも怪しげな愉快なものがいっぱいある。迷路のような市の店をぬって歩いていくと、タイムマシーンにのってパリの昔に会える。
セーヌの川べりで目に付くのはブキニストと呼ばれている「古本市」、ちいさなみどりの箱を道端のてすりに並べて商売をしている。貴重な古書を扱っているのは、三分の一ほどの頑固親父の店、あとは古い絵葉書、ブロマイド、土産物グッズなどを商っている。今ブキニストの出店権利を取るのは夢のまた夢、ほとんど不可能といわれている。
「花市」もシテやマドレーヌ、そして日曜の「小鳥市」、「切手市」もある。
「朝市」もラスパイユ、グルネル、バスティーユとあちこちに立つ。
なかで最も人気なのはラスパイユの「ビオ・マルシェ」、無農薬オーガニックのものばかりを扱っている。ルピックの坂道の「夕市」もムカシはひっくり返した雨戸に肉やチーズや豚の鼻を並べて売っていたが、今ではすっかり小洒落た白いテントに入ってしまった。白い四角いテントが、二十も三十も並んでいるのは、余り親しみが湧かない。不潔だとか不衛生とわめき立てるモンスター・ピアレンツが、近頃のパリにも増殖しつつあると聞いた。
古物・古本からビオまで、パリのマルシェ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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