花街には「正月の櫓くぐり」と呼ばれる風習がある。
七草粥までに櫓の上がっている芝居小屋に足を運び、歌舞伎を見なければならない、ということだ。
舞の腕を上げるための呪術のようなものだが、ここ3年中国コロナのお蔭で楽屋を訪ねることもならず、花街と歌舞伎のつながりもだいぶ危ないものになっている。
かって江戸幕府は、歌舞伎と廓を二大悪所として弾圧してきたのだが、それへの反動として芝居と花街の二人三脚が進み、お互い持ちつ持たれつの関係が出来上がったのかもしれない。
さて軽井沢には芝居小屋がない。花街もない。
櫓くぐりをしたくともできない、という訳で国立劇場の菊五郎劇団「遠山桜天保日記」音羽屋ならではの遠山の金さんの御裁きを見に行ってきた。
初代国立劇場では最後の初春歌舞伎となる公演だったが、菊五郎劇団お得意の世話物で、竹柴其水の明解な設定と音羽屋ならではの遊びの精神が初春狂言にみなぎり、まとまりのある殺陣の醍醐味がブラボーな舞台だった。大詰の河原崎座の初芝居への転換も粋な組立で久しぶりの手拭投げに客席も盛り上がっていた。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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