化けた深キョン

　深夜のテレビドラマはまず見ない。深夜のドラマ枠には予算がつかない。そのためどうしても二流三流の役者で我慢しなければならない。深夜ということもあり、無理矢理エロ路線に走ってスタッフのストレスを解消する。そんなこんなで、深夜に登場するドラマは、はなから信用されていないのだ。
　うっかり間違って「セカンド・ラブ」を見てしまった。
　深キョンにひかれたのではなく、脚本の大石静にひかれた。練達のシナリオ・ライターが深夜枠に手をそめるからには、なにか勝算あってのことだろう。
　不倫に走っている高校女教師とコンテンポラリー・ダンスに人生をかけた青年の激愛の物語だった。
　亀梨和也演ずるところのダンサーは、いかにもの軽さで、世界に通用するコンテンポラリー・ダンスはこんなものではない。
　となれば、深キョンの演技を追っかけるしかない。ホリプロのアイドルとしてスタートした彼女は、歌を唄ったりピアノをひいたり、ロリータの少女を演じたり、あちこちのジュエリーやら、メイクやファッション・イベントに振り回され、女優としてのイメージはあまり無かった。
　所詮グラビア・アイドルの域をでないものと決めてかかっていたが、見事に裏切られた。
　大人の女の激情に揺れ動き迷う表情や、ラブシーンの合間にふと見せるニヒルな顔が、とてもいい。
１６３センチの体型も過不足なく、可愛いだけのアイドルではなく、大人のくたびれも感じさせず、凛として大地にたっている。色気と知的バランスがとにかくいいのだ。
　愛読書は遠藤周作の「海と毒薬」、明日の期待がもてる深田恭子がそこにいた。