勧善懲悪省に戸惑う

　「勧善懲悪省」なんという名前のお役所であることよ。
　カブールに於ける前政権の女性問題省後ビルに設置された重要な省庁であると。
　女優が出演するテレビ番組の禁止、ニュースを伝える場合も女子アナは必ずヒジャブを着用すること、７２キロ以上の移動の時は男性同伴であること。等々、勧善懲悪省から次々と発令されている。
　それ以前には、飲酒禁止、売買春の禁止も通達している。
　聖典コーランや預言者ムハンマドの教えを守り、国民すべてがイスラムの恩恵を受けているか、どうかの監視を目的とするのが勧善懲悪省なのだそうだ。
　日本ならばどういうことになるのか、少し考えてみた。
　神道仏教省といってもなんとなく馴染めないし、武士道省では古すぎる。宗教省では左翼が騒ぐだろうし、道徳省でも朝日、毎日がデモを呼びかけるだろう。
　テレビドラマに女優は出演してもいいが、過度のメーク、劇中のヌードは禁止、勿論男色も禁止、衣裳は華美に流れることなく、基本的なライフ・ウェアに限る。少女に過度の期待をよせるロリータ趣味の番組はすべて禁止される。ミステリーも週一本に制限され、殺人シーンは一番組一シーンのみ、再放送も一回だけ。食料を無駄にする大食番組は禁止、食べ比べ、など劣情を刺激する番組も当然のごとく制限される……。
　どうやらこの国には「こども家庭庁」あたりが、お手軽で丁度いいのかもしれない。