傲慢と謙虚。

　ことの是非を問わず、今年マスコミでは「傲慢」なキャラが際立っていた。
　石原慎太郎、仙石由人、いずれも「上から目線でおごり高ぶったイヤなヤツ」という印象がつよい。かっての自民党には官僚上がりの傲慢地蔵のようなキャラが多かった。民主党になり若返ったので傲慢キャラはいなくなったかと思ったのが間違い。美しき傲慢には蓮舫、無表情な傲慢に枝野がいた。浜幸の傲慢には困ったものだが可愛らしさがあった。小沢一郎の傲慢は政治家としての経験がみなぎり、三権分立の国是に逆らった人民裁判マスコミ裁判まがいの喚問なんぞに付き合えるか、といった確信が読みとれる。
　芸能界の傲慢はまず筆頭の和田アキ子、次いで加賀まりこの昔を引き継いだ沢尻エリカ、西川史子は結婚と共にキャラが壊れ、いまではラーメンとコンビニがあればいいという転落ぶりだ。司会者では朝から傲慢なのがみのもんた、なにかというと我々一般庶民は、と庶民でない高給取りが喚きたて、政治とかね、説明責任とバカのひとつおぼえが騒々しい。夜になるとやつぱり軽くて薄い傲慢の古館一郎、田原総一郎は圏外に去ったが、田島陽子の男が悪い傲慢もいらない。
　スポーツ界ではTBSの愛する亀田三兄弟は常識のない傲慢、チンピラが横綱になった傲慢朝青龍、アスリートに媚びたひとりよがりの解説傲慢松岡修造あたりか。
　そして今年「謙虚」で急速にブレークしたのが、戦場カメラマン渡部陽一、ゆっくりと超スローな語り口はバラェティにとって衝撃的な新しい謙虚さ、計算のない人柄が茶の間の人気を呼んだ。が彼が戦場で撮った写真は、昨年一昨年一枚も売れなかった。編集デスクは、あの人は「あまりにも下手です」といつているので、写真を棄てバラェティ専門になった方がいいのかもしれない。