夜の銀座と新宿2丁目と、そして一部芸能界を巻き込んでとんだ騒動がおきている。
豊胸術のためのシリコン・パツクが、インチキで破裂する恐れがあるというのだ。乳房が変形するだけではなく、赤くはれたり、膿がたまったりする可能性がある。
フランスのベルトラン保健相は、いちはやく国内3万人のユーザーに対し、不良品摘出手術を無料にし、さらに乳がん手術後にそのパックを移植した患者については、代替品との交換を無料にする、と表明した。さすがフランス、日本国の厚生省には、そんな心ずかいは全くない。
ワインやコニャックを売っていたジャン・クロード・マスが、南仏シェルメールに豊胸用シリコンパック製造のPIP社を設立したのは1991年、以来美しきファツションの国フランスのイメージを最大限に利用して売り上げを伸ばしてきた。とくに市場はアフリカとアジアが圧倒的だつた。
貧乳に悩む患者に、こちらのシリコンは国内製、こちらは少々お高いですがフランス製と提示すると、あらかたの女優、オカマ達は高い方のフランス製を選択したという。
そのシリコンが医療用ではなく、工業用シリコン油をベースに用いたインチキ製品だったとは。悪くすると発ガンの可能性すらあるといわれる。
1993年には材料の規格認証が義務化され、EUの規格認証を得るのに2年間のテストが必要だったのだが、RIP社はドイツの認証機関を経てまんまと認証印を得ていた。当然多額の袖の下も動いたと噂されている。
夜の街ではたらく女性や、近頃市民権をえて堂々とメディアにでてくるオカマちゃんたちはともかく、少しでも大きく見せたいという健気な女性たちの心情を、金儲けのためにもてあそんだPIP社は許しがたいが、巨乳を商品化し、なんの反省もないメディアも共犯者ではなかろうか。
偽パイの恐怖
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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