長野県は全国で唯一つ淫行条例のない県として存在してきた。
だから長野県に淫行はなかったかと、問われればそんなことはない。淫行という事象はごく当たり前に存在してきたように思う。
どこまでが淫行で、どこからが淫行でないか、その辺は微妙な問題だが、その境界については法律の問題として考えるより倫理、道徳の問題として考えた方がいいような気がする。
今回の淫行条例提案に当たって阿部知事は「インターネットや携帯電話が普及する中で、子供の性被害が増え、看過できない状況にある。」なるほど最近顕在化した事例として教員による女子生徒への淫行がある。これなどは教員養成校に対し、性教育の徹底化を要請したほうが、よほど実際的とも思うが、わざわざ県外から長野には淫行条例がないのでシメシメといった教員奉職者も想像できない。
片方で刺激的なダンスの正課を実践し、AKB世代つまり中学生から性的ワールドを開放し、充分に食生活をみたして育った女子たちは、すでに淫行の挑発者たりうる資格をもっている。
グラビアアイドルのフォト雑誌にしても、そこに登場する中学生は、すでにみずからのセクシャリティを商品化するすべを身に付けている。胸をチラ、お尻を丸出し、なんとか開脚と開いた口が塞がらない、これでは淫行の森、淫行の信濃といわれても反論できない。
淫行条例ときいてどこかに時代錯誤の不自然さを感じるのは、世間の現実と離れた信州人の議論だからではなかろうか。
信濃の国の淫行条例
コメント
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す