供養にならない無音盆をどり

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 盆をどりというのは、祖霊を供養するのが目的で、副産物として地域の交流や若者たちの出会いがあった。 信州の阿南町には3日3晩踊り繋ぐ無形文化財の盆踊りがある。ゆったりと祖霊への想いを込め、感謝とともに3日間供養する踊り念仏だ。
 軽井沢でも小さな公園に櫓をたて、四方に提灯を飾った盆踊りも、ないよりはずっとましで、久々にお里帰りの娘さんが子供を連れての盆踊りに、家を繋ぐ習俗が見てとれる。
 音の悪いスピーカーから、無責任に流される東京音頭も懐かしく、田舎はかくあってこその田舎と、半分イベント化しつつある素朴な盆おどりを楽しむ。
 最近話題の盆踊りに「無音」の踊りがあると聞いた。
 全員小さなレシーバーを耳につけ、FMのトランス・ミッターから飛んでくる電波をとらえて踊るという。その風景は想像するだに気持ち悪い。どこかのカルト集団の集まりのようで人間の営みにはみえない。踊りの輪ごとに曲を変え、複合的な盆踊りも可能というが、どこか間違っている様に思う。
 でも音を出すとすぐ苦情がきます、というが、盆踊りのスピーカーの音に腹を立て文句を言ってくる方がおかしい。そうしたカン違いエゴイストを生み出した社会にも問題ありだが、盆踊りに五月蝿いと文句をいう馬鹿どもには、出て行ってもらったらいいのだ。
 いい加減に理不尽な個人主義は願い下げにして欲しい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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