何故いま「消える劇場」

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何故いま「消える劇場」
 ル・テアトル銀座、シアタートップス、アトリエ・フォンテーヌ、シアター・アップル、前進座劇場、新宿コマ劇場、青山円形劇場、青山劇場、サザン・シアター…… 最近に閉鎖した劇場、ないしは今年中に姿を消す東京の劇場リストである。
 いま2016年問題として劇場関係者の間でいわれている「消える劇場」の問題だ。
 大規模なイベントのための劇場、ホールは確保されているが、そうした大空間では伝えられない密度の高い音楽や演劇の空間が無くなってしまうのだ。
 東京オリンピックのための大規模イベント会場は次々と着工されるが、アンチームな中劇場がない。ここ20年来のマネージメント・ブームで中、小劇場では利益がでない。劇場芸術すら商業的な利益追求の手段になってしまった。
 小さなシャンソニエ、無数にあるブールヴァール劇場、レビュー劇場、キャバレーホール、新旧のオペラハウス等々、パリには150以上の上演空間が維持されている。
 ニューヨークでも、ミュージカル中心のブロードウェイ劇場、あるいはオフ・ブロードウェイの小劇場、リンカーン・センターのオペラ、バレエ劇場と数え上げたらきりのない劇場が存在する。
 それぞれに信ずるテーマをとりあげ、国家のバックアップや、民間財団の援助をうけて芸術活動をつづけている。この国では、文化的民度の育成をめざし、3年前「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律」が制定されたのだが、それを施行する行政側が、無知ではなんともし難い。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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