50年前、おにぎりの差入れを度々したことを思い出した。
神楽坂の細い路地にその店はあった。
おばあちゃんが一人でやっていたのだが、歌舞伎座でも新橋演舞場の楽屋でも届けてくれた。
忙しい舞台裏でポンと頬張って食べれるおにぎりは、意外に人気があった。
おばあちゃんのおにぎりは、醤油の香ばしい焼きおにぎりだった。
手のついた粋な篭に入れ、漬物を添え風呂敷に包んで届けてくれた。
名代の役者衆はともかく、お弟子さん、部屋子さん達に殊のほか喜ばれた。
おばあちゃんの店はあるとき、火事をだし閉店してしまった。
その頃から、コンビニのおにぎりが進出してきた。
テレビでは、どこのおにぎりがいちばん早くむけるか、などという競争を番組にしていた。
田中康夫が自慢げにおにぎりの皮をむいて、うんちくを語っていた。
本家アメリカのコンビニにはなかったおにぎりの開発にはいろいろの問題があったのだろう。
米と具とノリしか使わないメニューだが、お米の選択から具の選び方、鮭、梅、ツナマヨ、こんぶ、明太子
それぞれに特徴がある。年間21億個も売れるいまのコンビニおにぎりは、日本人の味覚の集大成のようにも 思える。
パリッとしたのりの感触を保つためにもいろいろの包み方が試みられた。
レンジで少し温めると、抜群に美味くなるおこわシリーズ等、中高年には絶対的な人気だという。
おこわのモチモチ感にフックラが加わって、たまらない美味さを演出している。
なかでも「赤飯おこわおむすび(税込130円)」と、「鶏五目おこわおむすび」は永遠のベストセラーだと か。
ごはんにぎりは三角に、おこわにぎりは丸にしないと売れないという都市伝説もある。
伝統食おにぎりの改良
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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