代理店製「山の日」記念イベントを斬る

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代理店製「山の日」記念イベントを斬る
 「8月11日は山の日、国民の祝日です」
折角の祝日は、お盆休みの延長のためにあるのか、それとも山の日と尤もらしく名付けて、山を利用した商売のための日なのか、思わず疑いたくなるようなスケジュールが並んでいる。
第一回「山の日」記念全国大会実行委員会事務局主導による記念行事を見て驚いた。
ゆるキャラ・サミツト、ワインの夕べ、それに記念切手の贈呈式、すいかの振る舞い、こんなところへ皇太子が出掛けてなにするの、所詮代理店への丸投げ行事とは思うが、国民の祝日制定にともなう行事がこの程度では、山ガールどころか山アホウの集いである。
そもそも日本の山にはいろいろな側面がある。ヨーロッパの山とは根本的に異なる。
山岳信仰、山によりそった信仰形態、長野の山にも御嶽、戸隠、浅間とそれぞれの信仰があった。
中世には山にまつわる戦いの歴史があったし、近代に及んで初めてスポーツ登山の頁が開かれたのだ。それがいまやレジャー登山一色、記念の手拭い配りに、山で酒を飲もうという山バールのオープンでは、山も悲しがっているだろう。
山の日には、せめて山の歴史にふれ、山の信仰を思い、山の現実をみて欲しい、と願っているのではなかろうか。山に親しみ、山の美しさにふれようなどという表面だけのお念仏は駄目だ。
北島さぶちゃんに「山のうた」を唄ってもらうのもいいし、相変わらずのヨーデル・コンサートもいいが、
山小屋宿泊券、クーポン券のまえに、山を学ぶことこそ日本の山にしかない素晴らしさと思うが、如何。
イオンの大売出しと少しも変わらない「山の日」イベントだけは御免こうむりたい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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