貧乏、不況、格差の時を迎えて、子役の異常なブームがきた。「子役なら安い」子供は本来可愛いのだから、そのうえ安ければ願ったり叶ったりだ。天下のトヨタでさえ、CM制作にあたり、5000万円のタレントを使うより、大河ドラマのついでに売れた8才の加藤清史郎を使ったほうが得策とばかり、こども店長シリーズを始めた。6才の石井萌々果は2段熟カレーにブレンディで媚を売っている。児童劇団や子供モデルクラブには、アラサーの馬鹿親が列をなしているそうだ。子供を種に拾本の指にダイヤを嵌めていた美空ひばりの母には届かずとも、せめてヴィトンのバックを手にした母が、マネージャー然とした態度でスタジオにご出勤。かって子役はラジオやTV、CMにでるには厳しい制約があり、子供を商業市場に利用するのはいけない、という制約があった。それがいつの間にかなしくずしに空洞化し、代理店はかけずりまわって子役をくどき、利益第一のスポンサーに売り込む。社会全体が子供の文化にたいする思想がなく、ただ子供を作りさえすればいいという少子化対策でいいのだろうか。ピアノ、バレー、サッカー、野球、塾、そしてすきあらばタレントという親たちの脳みそを見てみたい。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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