京都「大文字さん」の謎

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 今日16日は五山の送り火……大文字の日である。
 京都では「大文字さん」と呼び、夏の終りにおしょらいさんを浄土にお送りする行事ととらえているが、箱根あたりで「大文字焼き」とよぶ風習には嫌悪感を持つ人が多い。あれは焼くのではなく「焚く」のだ。関東の人が奈良若草山の山焼きなどとゴッチャにした結果で、信仰行事ではなくイベントとおもっているからあんな呼び方をするのだろうと、軽蔑している。
 「大文字」には謎が多い。始まりについても、文字の意味についても諸説ありすぎて、決定的な説明がない。
 弘法大師説、足利義政説、近衛信尹説、青蓮院門跡説、などなど京都中をまきこんでの大規模な行事にもかかわらず決定的な説明がつかないという不思議がある。何故「大」に始まるかについても、北極星を模った説、大という文字は一人と書くところから大を人型に見立てて無病息災を願った説、弘法大師が大の字型の護摩壇を組んでいたから説など、百家鳴争。個人的には弘法大師説に賛同している。
 「大」の字の真ん中には弘法大師の大師堂があるし、いまでも浄土院の檀家が点火を奉仕している。
 去年の大文字さんは、文字通りに点火されなかった。文字の端っこと中央だけに点が焚かれただけだった。おかけで悪疫退散の効なく、コロナの横行する現状になった。今年もどうやら点だけの大文字になりそうだ。
 祇園祭といい大文字といい、いずれも悪疫退散の家元にもかかわらずこのテイタラクでは、まだまだコロナは跋扈するのだろう。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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